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災害と高層建築

  • 2023年9月5日

皆さんこんにちは、株式会社森田工務店の森田晃司です。

先日9月1日のブログでも取り上げましたが、【防災の日】制定のきっかけとなった大正12(1923)年9月1日の関東大震災から100年。

東京には「浅草十二階(正式名称=凌雲閣)」と呼ばれる地上12階建て(高さ52メートル)の、大正12年当時の日本でも屈指の高層建築物で、ここに国内初の電動エレベータ―が設置されていたそうですが、この地震によって倒壊しています。

「浅草十二階」がどうだったのかはわかりませんが、現代の、少なくとも平成以降の高層エレベーターには、地震を感知すると安全のため自動的に止まる「地震管制」というシステムが備わっています。大きな揺れ(震度4ぐらい)を感知したらこのシステムが作動して、動いているエレベーターは最寄りの階で止まって扉が開き「降りてください」という表示が出ます。もし万が一、こういう場面に出くわしたら、すぐに降りましょう。

現代日本の最新高層建築は、相当頑丈に建てられており、かつ地震や強風の揺れを軽減させる高度なシステムを設置していますので、大抵の地震や台風では安心だと聞いています。

けれども問題はライフライン、すなわち電気、ガス、水道の供給を絶たれることです。

そうならないような設計を十分にされていると思いますが、私の知る限り、大災害=地球のパワーは、時として人間の英知、理論上の安全を凌駕(りょうが)してきました。

たとえば電気が止まると、エレベータ―が止まってしまう。そうなると移動手段は階段だけ。高層ビルには非常時のために避難階段が設置されていますが、文字通り建物から避難するための階段で、これを移動のためにまた自力で上っていくのは大変です。

私がまだ若い頃、地上50階建てビルの1階から最上階まで、避難階段を駆け上げる訓練をしたことがありました。調子よく駆け上がるのはせいぜい最初の10階くらいで、あとはひたすら呼吸を整えながら歩いて上がって、最上階にたどり着いたのはスタートから13分。日頃訓練を積んでいる若い現役消防署員で11分、彼らはまだ若干の余裕がある感じでしたが、私はヘトヘトでした。

そんな経験をしているせいか、私は地上から高いところに住んでみたいという気持ちがなかなか起こりません。災害を考えるとマンションの5階でも高いと思うのですが、皆さんはいかがですか。

災害に日時場所の指定はありません。いつも言っていますが、いざというときの備え、心構えが大切なのだと思います。皆さまどうぞご安全に。ではまた。

写真はイメージです。災害とは関係ありません念のため。