皆さんこんにちは、株式会社森田工務店の森田晃司です。
先日の新築現場において、上棟式(じょうとうしき)が催されました。私が小さい頃は、父から【棟上(むねあげ)】という言葉でなんとなく聞き知っていましたが、同じことです。
費用が、手間が、安全が、などの理由からか、近年はめっきり少なくなりました。けれども、旧家など昔からの風習・儀礼を大事にされているところは、きっちりされています。もちろん施主さんによってそれぞれの価値観がありますから、私たちがそこのところをどうこう申し述べるものではありません。
ただやはり近頃は珍しい風習になっているので、私も上棟式を行うところを見た記憶がなく、後から番頭さんから式を行ったときいて、見て見たかったなあ…と。
通常の木造軸組み工法の建築においては、地面に近いところから順に建ててゆきますが、棟(むね)というのは建物のいちばんてっぺんの材をいいます。
棟を上げられるのは、建築の骨格がしっかり出来上がっている状態、すなわち新たな建物としての形を成したということです。このことを祝うとともに、建物とそこに住まう人の無事繁栄を願っての儀式、それが上棟式であります。
昔は神主さんが祝詞(のりと)を読んだり、施主さんが形式上建築作業に加わる儀式をしたり、棟に上ってお餅やお金をばらまいたり、と色々な儀式がありましたが、現在はその多くが簡素化しているようです。
写真はフリー素材から拝借したものですが、御幣(ごへい)といって、上棟式における神様へのお供え物、縁起物といえばいいのでしょうか。これを【へごし】という木材の先端に挟みます。【へごし】は【幣串(へいぐし)】の転訛(てんか)のようです。ここに施主さんの名前、施工者の名前、棟上げ期日などが書かれるなど、昔でいう【棟札(むなふだ)】の代わりを果たすものとみられます。
この御幣とへごしを建物の最も高いところ、棟木(むなぎ)または棟束(むなづか)にしっかりくくりつけ、建物の完成後もそのままにしておきます。
人が住み、人が憩うための建物を、私たち森田工務店は造っています。
その建物が、誰かを寒暑風雨から守り、安らぎをもたらすことを願うのは、大昔からきっと変わっていないのでしょうね。ではまた。