皆さんこんにちは、株式会社森田工務店の森田晃司です。
商店街なんかを歩いておりますと、昔あった店がなくなっていたり、新しい店が出ていたり、あるいはシャッターが下ろされたままになっているところを見かけます。懐かしい街並みが変わってゆくなあ…などと感慨にふけることもあるのですが、先日通りかかりましたのは…。
場所は伏せますが某商店街です。心当たりのある方もいらっしゃるかもしれません。昭和の頃は、カメラ屋さん、コーヒーショップ、美容室なんかが並んでいたようですが、いつしか閉店し、おそらくそのままになっている建物です。いま流行りの【昭和レトロ】をはるかに超越した空家、いや「廃墟」です。
通路に面した部分はベニヤ板で覆われており、詳しい様子はわかりませんが、そのベニヤすら経年で変色し、屋根にはかつて雨もれ防止に覆ったであろうブルーシートが擦り切れてヒラヒラしており、もはや用をなしていないでしょう。
どのような事情でこんなことになっているのかは、知る由もありません。ただ、通りに面したベニヤの壁には、こんな張り紙がしてありました。
字が読みにくいと思いますが、こう書いてあります。
標 識
下記特定空家等の所有者等は、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「法」という。)第14条第3項の規定に基づき措置をとることを、令和〇年〇月〇日付け豊都安第〇〇号により、命ぜられています。
記
1,対象となる空家
所在地:〇〇 用途:〇〇
2,措置の内容
建築物全部を撤去すること。除却後に残材を適切に処理すること。
3,命ずるに至った理由
当該建築物は、屋根及び外壁等の一部が崩落しており、残存している部材や塀等の劣化が著しく、倒壊等のおそれがあります。また、敷地内に廃材等が放置され、不特定の者が容易に侵入できる状態となっています。
このような状態は法に定義される特定空家等の以下の要件に該当します。
①そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
②著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
4,命令の責任者 〇〇市〇〇部〇〇課長 氏名
5,措置の期限 〇年〇月〇日
とまあ、こんな標識、初めて見ました。これが噂の「特定空き家」に指定された状態なんですね。これは市による命令文書のようです。ちなみに措置の期限とされる日付は、このときすでに過ぎておりました。
以前にも説明しましたように、この命令に従わず放置すると、行政代執行といって、市町村なんかが所有者に代わって、この建物を取り壊すんですね。さらに、かかった費用は所有者に請求し、払えないとなると差し押さえで強制的に回収するのです。
どうしてここまで放っておいたのか、というには所有者さんにも色んな事情や思いがあるのかもしれませんし、ここで言及はしません。建物の写真は控えておきますが、これほどひどくなるまで放置していますと、修理の施しようがありません。無理に修理しようとすると、逆にものすごい手間と時間と費用がかかってしまうでしょう。
いつも申しますように、空家を所有されている方は、定期的に建物に風を入れて、古くなった部分は早めに補修しましょう。そうすることで、古い建物でも長く大事に使うことができます。お金はもちろんかかりますよ。けれども家や建物を所有するということは、メンテナンスにも費用がかかるということなんです。
空家もそうですが、お住まいのメンテは長もちの秘訣。しっかり手入れしておきましょう。ではまた。