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「間」の話をします

  • 2023年2月10日

皆さんこんにちは、株式会社森田工務店の森田晃司です。

先日の予告通り、今回は「間」の話をします。

現在の日本語で「間に合う」といえば、約束の時間に遅れずに済むという意味で使いますね。ほかにもテンポやリズム、タイミングなどを「間(ま)」と表現します。どれも「時間」に関係する言葉といっていいでしょう。

一方で「間に合う」にはもうひとつ使い方があります。「あの人は、本当によく間に合う人だ」といえば、時間の約束に遅れない人、という意味ではありません。適切に行動し、その場の役に立つ人のことを言います。

また、ホテルの宴会場とか部屋の名前で「〇〇の間(ま)」なんて付けられているのを見たことはありませんか?誰も出入りがない部屋を「開かずの間」などと言ったりもしますね。これらの「間」は、「場所」「空間」のことです。建築で使われる「間」は、この空間に関係する言葉なんだと、おわかりいただけると思います。

さて、1寸は3.03㎝、1分(ぶ)は3.03mm。正確無比な様子をさして「寸分の狂いもない」と形容することがあります。1寸の10倍が1尺(30.3㎝)です。1尺を6倍すると1間(けん)と、ここまではおさらいです。

本題に入りますが、この1間が、寸分どころか、面白いくらい長さがバラバラなのです。

1間の長さは、明治時代になって、1間=6尺(約1818mm→便宜上1820mm)、と統一制定されるまで、時代によって、地方によって微妙に変わってきました。現在は公式に使われることのない単位ですが、日本家屋の建築は、現在でもこの1間=便宜上1820mm換算は、あちこちで活きています。

また、住宅建築と密接に関わっている畳のサイズは、長辺を1間、短辺を半間(0.5間)としますが、「畳割(たたみわり)」「柱割(はしらわり)」という建築設計上の考え方によって、これまた1間のサイズが変わってきます。

畳割の1間は正味の畳の寸法ですが、柱割の1間だと、柱の中心から柱の中心まで(シンシン)を1間、とする考え方なので、ちょうど柱1本分の幅を差し引いた長さです。

有名な畳の規格としては、京間(本間、関西間。畳割の1間=長辺6尺3寸=約1910mm)、中京間(サブロク。畳割の1間=長辺6尺=約1820mm)、田舎間(江戸間。ゴハチ。柱割の1間=長辺5尺8寸=約1760mm)などでしょうか。地方に行けば、もっと独自のサイズが存在します。

ちなみに江戸時代の資料によれば、禁裏(天皇さんのお住まい)の1間は7尺(約2121mm)、門跡(格式の高いお寺)の1間は6尺6寸(約2000mm)とあります。かたや、現代のマンションや公団の1間は5尺6寸(ゴロク=約1700mm)規格なんだとか。同じ1間でも、400mm=40㎝以上の差があるなんて、すごくないですか?

ですので、京間仕様の畳を江戸間仕様の部屋に敷こうとすると、はみ出してしまい、うまく収まりません。これが本当の「間違い」です。空間を見誤ると、畳はおろか、建築もうまくいきません。皆さんも家を建てるときは、どうぞ間違いのない工務店を選んでくださいね。ではまた。