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五隹疋矢と口

  • 2025年9月9日

皆さんこんにちは、株式会社森田工務店の森田晃司です。

京都の龍安寺(りょうあんじ)は石庭が有名ですが、この茶室の前にある蹲踞(つくばい)もまたよく知られています。

茶道に通じておられる方や、寺院・庭園巡りが好きな方であれば、うんうん、と頷(うなず)かれるかもしれませんが、【つくばい】とは、特別な空間である【茶室】に入る前に、手を洗い清めるために用意された、手洗い場と申しましょうか。よくあるのは石の真ん中が大きくくぼんで、水が溜まるようになっていて、ちょっと柄杓(ひしゃく)が添えられているものです。

その龍安寺のつくばいには、中央の四角い手水鉢部分のまわりに、五・隹・疋(の上の横棒がないもの)・矢の文字が彫られています。

ご存じの方には説明不要ですが、石鉢の中心部の四角を【口】と見立てると、それぞれ【吾】【唯】【足】【知】という漢字が形成されます。クイズ番組でこんなのありそうですよね。

これは何かといいますと、【吾(われ)唯(ただ)足(たるを)知(しる)】という言葉を図案化したもので、「もっと欲しい」「まだ足りない」という人間の欲を戒(いまし)める言葉です。

【十分あるやないか】【まだ使えるやないか】。こういう考えが心を豊かにする、ということなんだそうで、禅の道に通じる考え方です。ケチとは違うし、心が澄んでいるというか、わかる人にはわかるし、わからん人にはわからんのでしょう。私はわかるような、わからんような、であります。

現場の視察に行ったときに、そんな趣(おもむき)のある襖(ふすま)の引手を見かけました。ちょっと気の利いた細工があったりすると、ほっと和やかな気分になります。

きっとこのお宅のご主人は奥ゆかしい、謙虚な方なんでしょうね。ではまた。

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